INTERVIEW

2017 WORKMANSHIP PRIZE | Min Wang、Karin Niwa、Daniel Akira Hirozawa

秀作賞受賞者へのインタビュー後半。
様々なバックグラウンドを持つ彼らが見つめるファッションの未来とは。

秀作賞|ワン ミン「抱擁」

―受賞した気持ちを聞かせてください。

「ええ〜 私ですか!」

―今回の作品のコンセプトについて教えてください。

私は母子家庭で生まれ育ち、これまで母の手の温もりはずっと私の心の支えでした。それは私のデザイン理念の元となり、今回のデザインはそこから生まれました。
デザインには抱擁のイメージを思わせる体の柔らかい曲線を入れ、角度のない滑らかな卵形にし、抱かれる時、体が前に傾く雰囲気を加えました。幅広の衿で頭部を巻き安心感を与え、前身頃の帯結びは母親が両手で赤ちゃんを抱いているイメージです。 素材は温もり感のあるウールのニットを選び、外側のシワ処理した波状の布は母の両手のようにし、母に抱き締められて得た力を象徴しています。鎖の刺繍は血の繋がりの関係を表現し、同時に力の伝達も表しています。

―制作で大変だったこと、工夫したところなど教えてください。

一番難しかったことは素材探しとその材質の研究です。生地選びは、生地の性質、テーマとの相性度、パターンの作成、細部処理など、大学在学中に行った制作の中で、一番長く時間を費やしました。これまでは時間の制限もあり、ほとんどデザインのみに重点を置いていました。今回のコンテストを通して、服作りの一つ一つのステップを確実に実践することによって自分の不足なところを改めて認識させられ、本当に感謝しています。


パターン調整の過程。五種類の素材を使ったため、それぞれの素材の伸縮性に合わせてパターンを調整しました。


生地選びと染色の過程

―ファッションの学校に進学した理由を教えてください。

成り行きです。
もともと人文科学に興味がありました。この数年は人類とその産物(私自身も含む)に対し、ますます夢中になっています。創作することが好きでしたが、ファッションデザインの道に進むことは高校最後の年に友人と一緒に決めました。 「小さい時からの夢はデザイナーになりたい」ではない自分をたまに惜しく感じます。

―好きなデザイナーとその理由を教えてください。

Alexander McQueen:彼の美と苦痛が好きです。でもそこから脱け出してほしかった。
Martin Margiela:なぜ好きなのか説明するのは難しい。彼は純粋でチャーミング。(“純粋“という言葉が適切かどうかは確信できないけど)
川久保 玲:彼女の固執と躍動。現状に満足せず、物事を追求するところ。

―現在の日本や世界のファッションシーンについてどのように考えていますか?

未来に対してあまり楽観的ではありません(笑)
台湾の得意分野はまだ製造です。生産の技術面で進歩を求めていて、機械をレベルアップさせれば世界的に受注できるようになると思います。デザインの面では、一部のデザイナーズブランドは少ない資金で大きな夢を抱き頑張っています。本当に尊敬します。あと10年もすればファッション業界も大きく変わると思います。AIの発展はすでに各産業に影響していますし、ファストファッションの存在でさえも転換せざるを得ないのではないでしょうか。結局、どの業界も人類の需要を重視するでしょう。だから私が聞きたいのは、こういう時代背景において、人々はなにが欲しいのか?ということです。

―今後の目標を教えてください。

(フーコーの言葉を引用させてください)
当面の目標は自分たちは何者であるかを発見することではなく、何者であるかを拒絶することだ。

―何か伝えたいことがあれば書いてください。

もう一度、主催者と審査員に感謝します。

秀作賞|丹羽 可林「No Sew」

―受賞した気持ちを聞かせてください。

とても嬉しいです!ありがとうございます!

―今回の作品のコンセプトについて教えてください。

メッシュに生地を通し、縫わずに作る服を提案。技術が進歩している今だからこそ人の手で作り出す温かさを表現しました。

―制作で大変だったこと、工夫したところなど教えてください。

制作で大変だったのは予想よりも生地量が多く必要になってしまったことと、メッシュに生地を通す作業がとても時間がかかったことです。生地は約50m使用しました。テーマである“縫わない”ということを徹底したのと、メッシュに通している2種類の生地が綺麗な色に見えるように配分にも気をつけました。

―ファッションの学校に進学した理由を教えてください。

小学校のころからなんとなくファッションの道に進みたいと思っていました。元々はスタイリストになりたくて入学しましたがファッションのことを幅広く学びたかったのでデザイン学科の方へ進学しました。

―好きなデザイナーとその理由を教えてください。

HOUSE OF HOLLANDのHenry Hollandさんです。色使いが好きです。

―現在の日本や世界のファッションシーンについてどのように考えていますか?

日本に対して思うのが、中学生の頃からストリートスナップを見るのが好きで、昔は色んなスタイルの人がいたり面白いスタイリングをしている人が沢山いたのに、だんだんボーダーレスになってきて色々な雑誌がなくなってしまったりどの人も似たような格好しているのがちょっとさみしいです。

―今後の目標を教えてください。

衣装デザイナーです。ですがファッションに限らず自分の感性を活かせる仕事をしていきたいです。

―何か伝えたいことがあれば書いてください。

とても貴重な経験をさせていただきありがとうございました!

秀作賞|ダニエル アキラ ヒロザワ「Nukumori」

―受賞した気持ちを聞かせてください。

自分の作品が東京ファッションウィークの舞台を歩き、日本のファッション界で活躍する多くの方々に見ていただけて、とても感謝しています。自分の名前が呼ばれた時はとても驚き、同時にとても嬉しかった。ブラジルから日本へ留学した時には、このような賞を受賞出来るとは思ってもいませんでした。

―今回の作品のコンセプトについて教えてください。

今年制作しているコレクションのコンセプトは「ぬくもり」という言葉が元になっています。
日本へ来て約3年が経ち、故郷を恋しく思うようになりました。故郷であるブラジルに思いを馳せるとき、ブラジル人には自然にある温かさ、抱擁、人と人との感情的な絆を思い出します。日本人にはあまりないように感じますが、この「ぬくもり」という概念は(母国語である)ポルトガル語には存在せず、日本に来ていなかったら、この感情には名前もなかったと気がつきました。この言葉は2つの文化の中で生まれ育った日系ブラジル人としての自分のアイデンティティをとてもよく表していると感じます。

―制作で大変だったこと、工夫したところなど教えてください。

一番苦労したのはレザー部分へのニードルパンチだと思います。ニードルパンチをこのような硬い素材に使うことはあまりないですし、その上、多くの素材を同じ箇所に集中させて立体的な形を作ろうと挑戦しました。結局、制作中に針を何本も折ってしまいましたが、納得のいく結果が得られたと思います。

―ファッションの学校に進学した理由を教えてください。

大学院に進学する前、ファッションの勉強をしたのは北海道で1年間だけでした。もっとこの分野について勉強したいと思っていたときに、奨学金の話があり応募しました。

―好きなデザイナーとその理由を教えてください。

最近はWalter van Beirendonckが好きです。彼の色使いやユーモアのあるデザインに魅かれます。

―現在の日本や世界のファッションシーンについてどのように考えていますか?

ファッションは今後10年間で大きな変化を遂げるのではないでしょうか。今、消費者の習慣や考えがよりエシカルな方向へシフトしていると思います。すでに多くのブランドが倫理的価値、感情、行動を、製品を通して消費者にアピールしていますし、その点を意識したものづくりをすることがブランド成長の鍵だと思います。

―今後の目標を教えてください。

クリエーターとして働きたいです。自分のデザインが人々に届き、何か新しさを感じてもらえたら嬉しいです。

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